横手市の人口が半分近くまで減ったとしても、ごみ収集を人口と同じ割合で半分にできるとは限らない。
住民が残っている場所には収集車が行く必要があり、ごみ処理施設も一定規模の設備を維持する必要があるからだ。
人口減少地域のごみ処理で重要なのは、ごみの総量だけではなく、どこから集めるかになる。
2026年度は市の行政区域全体が処理区域
横手市の2026年度一般廃棄物処理実施計画では、計画区域を横手市の行政区域としている。
家庭から出る燃やすごみ、燃やさないごみ、資源物、粗大ごみなどについて、市の委託または排出者による収集運搬と、処理施設での処理が組み合わされている。
これは現在の制度であり、2070年まで同じ収集頻度、同じ施設、同じ委託形態が続くという意味ではない。
ただ、2026年時点では市全域を対象にした収集・処理網が存在している。
燃やすごみは週2回、家庭系収集は委託が中心
2026年度実施計画では、家庭系の燃やすごみはステーション方式で週2回収集する。
収集体制は委託収集が中心で、一部直営とされている。
燃やさないごみは月1回、缶や古紙など多くの資源物は月1〜2回など、分別区分ごとに収集頻度が違う。
人口が減っても、このサービスを維持するには、
- 集積所まで収集車を走らせる
- 分別ごとの収集日程を組む
- 委託事業者と車両を確保する
- 冬でも集積所へアクセスできるようにする
必要がある。
「ごみ量が減る」と「収集の仕事量が同じ割合で減る」は別問題になる。
集めた家庭ごみは、原則クリーンプラザよこてへ集約する
2026年度計画では、各地域のごみステーションから収集したごみは、原則として全量をクリーンプラザよこてへ搬入して処理するとしている。
例外として、大雄地域の生ごみは大雄堆肥センターへ搬入する。側溝等の清掃土砂なども別の処理先がある。
つまり現在の基本形は、
市内各地の集積所
↓
収集車で回収
↓
クリーンプラザよこてへ集約
↓
焼却・資源化等の処理
になる。
処理施設を集約すると設備側では効率化しやすい一方、市域の各地から施設まで運ぶ物流は残る。
これは学校統合後のスクールバスや、処理場統合後の管路と似た構造である。
拠点を集約しても、拠点まで運ぶ仕事は消えない。
2026年4〜7月だけで7,772.22トンを焼却している
クリーンプラザよこての維持管理情報では、2026年4月から7月までの4か月累計で、1号炉・2号炉を合わせて7,772.22トンを焼却している。
同期間の発電電力量は3,517,890kWhだった。
この7,772.22トンは2026年度年間のごみ量ではない。
また、市全体の一般廃棄物排出量そのものとも定義が違う。
確認できるのは、人口が減っている現在でも、クリーンプラザが毎月まとまった量を処理し、焼却時の熱を発電にも使っていることだ。
施設の将来を考えるときは、単に「ごみが減るから炉を小さくできる」と考えるのではなく、
- 年間焼却量
- 2炉の稼働率
- 定期点検による停止期間
- 発電量
- 更新費
- 災害時の処理余力
をセットで追う必要がある。
人口が減れば、ごみ量は減りやすい。ただし減量策も別に効く
一般に人口が減れば、家庭から出るごみの総量も減る方向に働く。
それに加えて、資源回収によって焼却・処分へ回る量を減らす施策もある。
横手市の常設型資源回収ステーションでは、古紙や衣類等を資源化事業者へ引き渡している。
市の集計では、2024年度に69.94トンが「ごみ排出量に計上されない減量値」となった。
これは市全体のごみ減量総量ではない。
常設型資源回収ステーションによる効果だけを示した値である。
人口減少と資源化の両方で処理量が下がれば、処理設備側の負担は軽くなる可能性がある。
しかし、収集は別問題になる。
例えば一つの集落で100世帯が50世帯になっても、50世帯が同じ道路沿いに残れば、収集車が走る距離は半分にならない。
「人が少ない地域ほど回収しない」と簡単にはできない
ごみ収集は生活に必要な行政サービスである。
人口密度が下がったからといって、住民が残る地域をすぐ処理区域から外すことはできない。
長期的には、
- 収集曜日の変更
- 集積所の統合
- 収集ルートの再編
- 委託区域の変更
- 広域処理
- 処理施設の統合・更新
などが選択肢になり得る。
ただし、これらが横手市で決定されていると書く根拠は現時点ではない。
このサイトでは、人口減少が進む中で実際にどの変更が行われるかを追う。
雪国では、粗大ごみ収集にも季節制約がある
2026年度計画では、粗大ごみは予約制の戸別収集で月1〜2回だが、12月から3月までは収集しない。
料金は大きさ等によって330円、660円、990円、1,320円の4区分となっている。
これはごみ処理を「いつでも同じ条件で使えるサービス」と考えない方がいい具体例になる。
高齢になって大型家具や家電を処分したい場合、冬季は市の粗大ごみ戸別収集を使えない期間がある。
横手で長く暮らすなら、収集の有無だけでなく季節条件も生活インフラの一部になる。
地元就職者にとっては、住宅を置く場所の問題でもある
20代では、ごみ収集の維持可能性を就職先選びと結び付けることは少ない。
しかし、30代で家を建て、その家に60代、70代まで住むなら話は変わる。
人口密度が低い地域では、将来の生活サービスを考えるときに、
- ごみ集積所までの距離
- 冬季の集積所利用
- 自家用車での自己搬入のしやすさ
- 粗大ごみの処分方法
- 高齢になったとき集積所まで運べるか
も生活条件になる。
現在サービスがあることと、50年間まったく同じ形で利用できることは同じではない。
地場企業には人口が減っても残る業務がある
一般廃棄物の収集運搬、車両整備、施設保守、設備更新は、人口減少で直ちにゼロになる仕事ではない。
2026年度の家庭系ごみ収集が委託中心であることからも、民間事業者が日常的な収集網の一部を担っていることが分かる。
一方、処理量が減り、人手も減るなら、事業者側には効率化が求められる。
- 少人数で回せる配車
- 収集ルート最適化
- 車両・設備の予防保全
- 遠隔監視
- 受付・計量・請求等の省力化
- 周辺自治体を含む広域運用
のような領域は、人口減少への対応そのものになる。
「人口が減るから廃棄物業界も同じ割合で縮む」とは限らない。
むしろ、少ない人員で広い区域を維持する能力が競争力になる可能性がある。
50年シナリオでは、人口より収集密度を見る
ごみ処理を追うとき、このサイトでは次の変数を見る。
- 総人口・世帯数
- 地域別人口
- 家庭系ごみ排出量
- 事業系ごみ排出量
- 収集委託費
- 収集区域・頻度
- ごみ集積所の配置
- 収集運搬事業者数
- 処理施設の焼却量・稼働状況
- 発電量
- 処理施設更新費
- 資源回収による減量
- 広域化の有無
特に重要なのは、人口の減少率と収集対象地域の縮小率が同じかどうかだ。
人口だけ減り、収集する道路や集落が広く残れば、一人あたりの収集負担は上がる可能性がある。
一方、処理施設側ではごみ量が減れば余力が増える可能性がある。
収集の地理と、処理施設の能力は分けて見る。
まだ分からないこと
2026年度実施計画と現在の施設実績から、収集頻度、基本的な搬入構造、2026年4〜7月の焼却量までは確認できた。
一方、地域別の収集原価、1世帯あたり収集費、委託事業者ごとの担当区域・契約額、走行距離、将来の担い手数はまだ分からない。
2026年4〜7月の焼却量から年度総量を単純に4倍して推定もしない。
次に確認するべきなのは、決算、収集運搬委託の契約・入札資料、車両・ルート情報、一般廃棄物処理基本計画の更新になる。
Sources
yokote-waste-plan-r8: 横手市「令和8年度 横手市一般廃棄物処理実施計画」yokote-waste-basic-plan: 横手市「一般廃棄物処理基本計画」yokote-clean-plaza-measurements-r8: 横手市「クリーンプラザよこて測定結果」yokote-resource-station-results-r8: 横手市「常設型資源回収ステーションの資源化実績」yokote-population-vision: 横手市「横手市人口ビジョン」